2023/12/11
報告年月日 | 2023/12/01 |
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報告者区分 | 製造販売業者 |
発現の要因
1
医薬品名 | アルファキサン マルチドーズ |
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製造販売業者名 |
明治アニマルヘルス株式会社 |
医薬品区分 | 生物学的製剤以外 |
一般的名称又は主成分 |
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投与者 | 獣医師 |
投与年月日等
No. | 投与期間 | 投与経路 | 投与量 |
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1 | 2023/11/10 | 静脈内注射 | 0.7mL |
2 | 2023/11/10 | 静脈内注射 | 0.2mL |
投与前の保管状況 | 室温保存 |
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2
医薬品名 | ベトルファール5mg |
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製造販売業者名 |
明治アニマルヘルス株式会社 |
医薬品区分 | 生物学的製剤以外 |
一般的名称又は主成分 |
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投与者 |
投与年月日等
No. | 投与期間 | 投与経路 | 投与量 |
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1 | 2023/11/10 | 皮下注射 | 0.15mL |
投与前の保管状況 | 室温保存 |
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発現動物
発現頭羽数/投薬頭羽数 | 1頭羽/1頭羽 |
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種類 | 猫 |
品種 | アメリカンショートヘアー |
性 | オス |
生殖状態 | 無処置 |
生理状態 | 該当なし |
年齢 | 実測 9月 |
体重 | 実測 3.9kg |
投与する前の診断名又は投与目的 | 去勢手術のため麻酔導入 |
投与したときの健康状態 | 良好 |
既往歴 | なし |
副作用歴 | なし |
医薬品の投与歴 | レボリューションプラス、ピュアバックスRCP(3回) |
発現の概要及び転帰
都道府県名・国名 | 国内:東京都 |
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発生年月日 | 2023/11/10 |
投与から副作用・感染症発現までの時間 | 15分くらい |
効能・効果 | 適応どおり |
用法・用量 | 用法・用量外 |
併用薬 | あり:マイシリンゾル「タムラ」、アトロピン、ベトルファール5mg、イソフルラン吸入麻酔液「VTRS」 |
副作用・感染症の種類(症状) | 呼吸停止、チアノーゼ、徐脈、血圧低下、心停止、死亡 |
講じた処置 | 治療(気管内挿管、麻酔を止め、心臓マッサージ、投薬(アトロピン、ボスミン、プレドニゾロン、ドプラム、デキサメサゾンをそれぞれ、経時的に繰り返し投与)による蘇生処置を行った。) |
転帰 | 死亡 |
同時に投与した他の動物の情報 |
意見・対応処置等
因果関係 | 因果関係がないとはいえない |
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獣医師等の意見 | アルファキサンマルチドーズによるアレルギー反応ではないかと考える。理由は、アレルギー反応が発現し易い10分~15分前に投与した製剤がアルファキサンマルチドーズであったため。また、以前にも同様な経験(アルファキサンマルチドーズおよびアルファキサンによるアレルギー反応が疑われる症例(2件))をしており、農水省DBにも同様(純血種)の報告がある。その他の可能性ではマイシリンゾルには麻酔剤との相互作用の報告がある(添付文書)。他剤によるアレルギー反応の可能性も否定できない。 |
製造業者等の意見 | 当該症例に投与されたベトルファール5㎎およびアルファキサンマルチドーズの用量は承認範囲、もしくは少なく(ベトルファールの投与経路は承認外の皮下投与)、若く健康な猫が呼吸停止を起こすほど強い呼吸抑制作用が誘発したとは考え難い。しかし、本症例ではマイシリンゾルがアルファキサンマルチドーズとイソフルランの投与前に投与されている。マイシリンゾルはクラーレ様作用(神経筋接合部遮断作用)による呼吸抑制を起こすことがあるため麻酔剤や筋弛緩剤との併用は慎重に行うよう注意喚起されている。アルファキサロンもイソフルランも用量依存性に呼吸抑制作用と筋弛緩作用があるためこれら3製剤を同時に使用した結果、強い呼吸抑制が発現した可能性が考えられる。鎮静、麻酔を実施する際は、前投与薬をはじめ投与する各薬剤の相互作用を考慮して各薬剤の投与量を設定、呼吸抑制が懸念される薬剤の組合せでは、気管内挿管による気道確保やカプノメーター等モニタリング機器による厳密な呼吸管理が推奨されている。しかし、獣医師の意見にある通り薬剤投与から呼吸停止に至る経過時間からアルファキサンマルチドーズを含む投与薬剤のいずれかによるアレルギー反応であった可能性は否定できない。投与経路、投与量および薬理作用等からベトルファールは因果関係が否定できると判断するがアルファキサンマルチドーズについては、因果関係がないとは言えないと判断した。 |
要因究明・対応措置の内容 | 本件をアルファキサンマルチドーズ投与猫の副作用として農林水産大臣報告を行う。今後も同様な副作用情報の収集に努める。また、本剤使用の際、他薬剤を併用する場合は本剤のみならず併用する薬剤の添付文書も熟読するよう推奨し使用する薬剤の相互作用を理解して安全で効果的に使用するよう啓発に努める。 |