2022/02/28

報告年月日 2020/04/15
報告者区分 製造販売業者

発現の要因

1

医薬品名 コンベニア注
製造販売業者名

ゾエティス・ジャパン株式会社

医薬品区分 生物学的製剤以外
一般的名称又は主成分
  • 01:セフォベシンナトリウム
投与者 獣医師

投与年月日等

No. 投与期間 投与経路 投与量
1 2020/03/28 皮下注射 6.96 mg/kg
投与前の保管状況 遮光冷蔵保存

発現動物

発現頭羽数/投薬頭羽数 1頭羽/1頭羽
種類
品種 三毛
メス
生殖状態 避妊・去勢済み
生理状態 不明
年齢 実測 22年
体重 実測 1.38kg
投与する前の診断名又は投与目的 口内炎 口臭の対策として
投与したときの健康状態 不良
既往歴 慢性腎不全で受診(2018年7月30日)治療開始、口内炎で受診(2019年8月22日、10月3日、12月3日、2020年3月28日)
副作用歴 2018/8/10からラプロス(一錠BID、共立製薬)開始、2018/9/3肝酵素の数値が上昇。ラプロスを1/2錠に減薬し継続
医薬品の投与歴 当該製品:なし、当該製品以外:ラプロス、ソルラクト輸液、プレドニン注&内服(1mg/kg、プレドニン5mg錠、シオノギ)、ファモチジン10注射、サプリメント(ネフガード、LACTTEUS、アンチノール

発現の概要及び転帰

都道府県名・国名 国内:東京都
発生年月日 2020/03/28
投与から副作用・感染症発現までの時間 5分くらい
効能・効果 適応外使用
用法・用量 用法・用量外
併用薬 あり:ステロイド剤(プレドニゾロン注射液「KS」共立製薬株式会社0.5mL/kg)
副作用・感染症の種類(症状) 元気消失、嘔吐、飲食廃絶、後肢の麻痺、開口呼吸、低体温、黄疸、膵炎、肝炎、
呼吸困難、急性腎不全、死亡。
講じた処置 治療(2020/3/29: セレニア錠2mg/kg、リーナルリキッド、3/30: ⽣理⾷塩⽔補液、セレニア注0.1mg/kg、ファモチジン1mg/kg、プリンペラン0.2mg/kg、ビオフェルミンR1/4錠BID、3/31: 酸素室、⽣理⾷塩⽔、セレニア注、ファモチジン、リーナルリキッド、ドパミン2μg/kg/min、フロセミド1mg/kg、4/1: 2.5%ブドウ糖液、インスリンR(0.1単位/kg))
転帰 死亡
同時に投与した他の動物の情報

意見・対応処置等

因果関係 不明
獣医師等の意見 慢性腎不全と口内炎はあったが、高齢にもかかわらず元気な猫に、口内炎・ロ臭対策としてコンベニア注を投与したところ、徒歩数分の病院から帰宅後すぐ、元気消失、食欲不振、5~6時間後には飲食廃絶、嘔吐、翌日後肢の麻痺、2日後早朝には開口呼吸、低体温、膵炎、3日後早朝には開口呼吸悪化、肝炎、急性腎不全、4日後朝、多臓器不全となり昼過ぎ死亡した症例である。コンベニア注以外に新規投薬したものはなく、タイミングとしても無関係とは言い切れないと思われる。
製造業者等の意見 コンベニア注投与前の所見で食欲減退、脱水、重度口内炎があり、2018年初診時と比較して約27%の体重減少が認められていた。また慢性腎不全の治療を継続して受けており、ラプロス投与後は肝酵素値が高値で推移してきた履歴があった。このように高齢で基礎疾患のある猫が状態を悪化させ多臓器不全により死亡したものと考える。

当該薬は2007年の発売以来多くの獣医療関係者に使用されており、再審査では国内猫777頭(うち15歳以上の猫84頭)について安全性調査を実施し、副作用発現頭数率は0.77%であった。副作用の内訳は、嘔吐、食欲不振、抑うつ、注射部位の疼痛が0.6%以下の頻度で認められており、使用成績調査では全身性の重篤な副作用は1頭も認められていない。

コンベニア注はセファロスポリン系抗生物質であり、高い血中蛋白結合率を有し、遊離成分が持続的に分布する特長を有するが、他のセファロスポリン系抗生物質と比較して他に大きく異なる薬理学的特徴はないと考えられる。セファロスポリン系抗生物質は医療・獣医療において広く使用されているが、副作用として有名なのは過敏反応であり、セフォベシンに起因する肝機能及び腎機能低下は一般薬理試験結果からもその可能性は低いと考えられる。

当該薬との関連性について、本症例においては基礎疾患、併用薬等複合要因が多く、因果関係は不明と考える。
要因究明・対応措置の内容 今後も同様の副作用情報の収集に努める。